米ドル/円の買い戻しが続いている。米緊急利下げとか、50bps利下げとか大袈裟な予想が後退し、9月開始でも25bpsの「普通」の利下げが市場のコンセンサスとなり、昨日(8月15日)リリースされた米7月小売売上高も想定より強く、米ドルの買い戻しが一段と強まった模様だ。
買い戻しとは、売った資産を再び買い戻すことを指します。主に以下の2つの状況で使われます。
1. ショートポジションの解消
- ショートポジション(空売り): 価格が下がると予想して、先に資産を売り、その後に価格が下がったところで安く買い戻すことで利益を得る手法。
- 買い戻し: 予想通り価格が下がった場合、その資産を買い戻してショートポジションを解消し、利益を確定させます。
2. 利益確定や損切り
- 利益確定: 価格が上昇して利益が出た場合、持っていたポジションを買い戻して利益を確定します。
- 損切り: 価格が予想に反して上昇した場合、損失を最小限に抑えるために買い戻してポジションを解消します。
例
- ショートポジションの買い戻し: Aさんが1ドル=110円のときにドルを空売りし、その後価格が1ドル=105円に下がったときに買い戻して5円の利益を得る。
買い戻しは、取引の終了やリスク管理において重要なアクションです。
コンセンサス(Consensus)とは、多くの人や専門家の間で合意された意見や見解を指します。特に、経済や金融の分野でよく使われる用語です。
コンセンサスの特徴
- 専門家の予測:
- 経済指標や企業の業績に関して、多くのアナリストやエコノミストが出す予測の平均値や一般的な意見が「コンセンサス」として示されます。
- 基準:
- コンセンサスは、市場参加者が参考にする基準となり、実際の結果がコンセンサスと比べてどうだったかで、株価や通貨の動きに影響を与えることがあります。
例
- 経済指標: アメリカの雇用統計が発表される前に、アナリストたちが失業率や新規雇用者数を予測します。その予測の平均が「コンセンサス」となります。
- 企業業績: ある企業の四半期決算が発表される前に、アナリストが予想する利益や売上高の平均がコンセンサスです。
コンセンサスは、投資家やトレーダーが市場の期待を把握し、それに基づいて取引の判断をする際に重要な役割を果たします。
米ドル/円 日足
(出所:TradingView)
しかし、米ドルの買い戻しは、米ドル/円はもちろん、米ドル全体(ドルインデックス)から見てもあくまでスピード調整の範疇であり、米ドル高基調へ復帰することはなかろう。株式市場の大反発と相まって、円キャリートレードの再来云々とまた大袈裟に言われているが、難しいかと思う。
FXにおける円キャリートレードは、日本円を利用して低金利の借入を行い、その資金で他の高金利通貨を購入し、利息差(スワップポイント)で利益を得る戦略です。この手法は、特に日本の金利が低いときに人気があります。
FXでの円キャリートレードの仕組み
- 日本円で資金を借りる:
- 日本は長期間にわたり低金利を維持しており、円での借入コストが低く抑えられます。
- 高金利通貨の購入:
- 借りた円で、オーストラリアドルや南アフリカランドなどの高金利通貨を購入します。
- スワップポイントで利益を得る:
- 高金利通貨を保有することで、日本円との金利差から得られるスワップポイントを日々の利益として受け取ります。
リスクと注意点
- 為替リスク: 円キャリートレードでは、円が他の通貨に対して上昇(円高)すると、外貨の価値が下がり、為替差損が発生する可能性があります。
- 金利リスク: 日本の金利が上昇したり、高金利通貨の金利が低下したりすると、スワップポイントが減少し、利益が減る可能性があります。
FXでの使用例
- 実例: トレーダーが日本円を売って、オーストラリアドルを購入。その後、オーストラリアドルを長期保有することで、毎日スワップポイントを得る。
FX市場において、円キャリートレードは、金利差を活用した戦略であり、長期的な利益を狙うことが可能ですが、為替レートの変動に注意が必要です。
株にしても、為替(円相場)にしても、先週月曜(8月5日)ザラ場安値(円の高値)までの大波乱自体がそもそもクレージーであった。当日の日経平均は史上最大の下落幅を記録し、メガバンクの三井住友銀行さえストップ安まで売られた。行きすぎた急落(円の急伸)は修正される宿命にあり、日経平均が本日(8月16日)3万8000円の大台に乗せ、米ドル/円は149円台前半までいったん戻ったのも、むしろ自然な成り行きだとみる。
日経平均 日足
(出所:TradingView)
米ドル/円 日足
(出所:TradingView)
換言すれば、株の急落、また円の急騰自体が一時行きすぎだったから、それに対する反動が見られただけの話で、大袈裟に解釈すべきではなく、また必要以上に正当化してはいけない。これぐらいの値動きで騒ぐ者がいたら、素人だと言わざるを得ない上、相場から「振り落とされやすい」者だと思う。
ドルインデックスは、ここからの戻りがあっても限定的。三尊天井がすでに下放れしており、さらに下値余地は拡大するはず
為替市場の話に限定し、まずドルインデックスの状況を見てみよう。昨日(8月15日)切り返しを果たしたものの、メインレジスタンスゾーン(矢印)を突破できるかどうかは未知である上、2024年年初来安値に接近していただけに、ここからの戻りがあっても限定的だと思われる。
ドルインデックス 日足
(出所:TradingView)
さらに、4月高値を「ヘッド」として、日足では「三尊天井」に近いフォーメーションが形成されている。すでに大きく下放れしただけに、ここからなお下値余地を拡大するはずだ。
三尊天井とは、FXや株式市場などのチャート分析で使われるテクニカルパターンの一つで、「ヘッドアンドショルダー」(Head and Shoulders)とも呼ばれます。このパターンは、価格が上昇した後に天井を形成し、その後、下降トレンドに転じる可能性が高いことを示唆します。
三尊天井の構成
- 左肩:
- 価格が上昇し、あるレベルでピーク(左肩)をつけます。
- 頭(ヘッド):
- 左肩よりも高いレベルで、さらに価格が上昇し、最大のピーク(頭)を形成します。
- 右肩:
- 価格が下がった後、再び上昇しますが、頭よりも低いレベルでピーク(右肩)をつけます。
- ネックライン:
- 左肩と右肩の底を結んだラインを「ネックライン」と呼びます。このラインを価格が下抜けると、トレンド転換のシグナルとされます。
三尊天井の意味
- トレンド転換のシグナル:
- 三尊天井は、上昇トレンドが終了し、下降トレンドに転じる可能性が高いことを示すパターンです。
- このパターンが形成されると、売りのシグナルと見なされることが多いです。
実例
- 実例: 価格が過去の高値に近づき、三尊天井を形成した後、ネックラインを下抜けると、売り圧力が強まり、価格が大きく下落する可能性があります。
三尊天井は、トレーダーが価格の反転を予測するために利用する重要なチャートパターンの一つです。
米ドル/円は元メインサポートラインに戻ったばかり。ユーロ/円、英ポンド/円は200日線前後に位置
肝心の米ドル/円は、149円台の打診があったとはいえ、2023年年初安値から引かれた元メインサポートラインに戻ったばかりで、ほぼ教科書どおりの展開(元サポートラインがこれからレジスタンスラインと化していく場合は、いったん戻る)なので、円安に戻ったとか、円キャリートレードの再開とかを言うのが、いかに性急かはおわかりいただけるだろう。
米ドル/円 日足
(出所:TradingView)
まして、200日線は現在151円台半ばに位置し、回復し切れない場合は戻り売りの急所となる可能性もあるから、円売り再開という判断は適切ではなかろう。
もちろん短期スパンに限って言えば、そもそも前述のように米ドル/円をはじめ、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のほとんどの先週月曜(8月5日)安値までの急落が行きすぎだったから、戻りに乗ったトレードは有効であった。
しかし、どうちかと言うと、先週(8月5日~)にて仕掛けて今は利益確定すべき時なので、今さらに円売りを仕掛けていくのは「鈍い」トレーダーさんの仕業だと思う。株式市場における短期トレードも同じだと思う。
主要クロス円では、執筆中の現時点で、ユーロ/円も英ポンド/円も200日線前後に位置し、豪ドル/円は大暴落してきた分、同線までまだ戻って来ていない。
ユーロ/円 日足
(出所:TradingView)
英ポンド/円 日足
(出所:TradingView)
豪ドル/円 日足
(出所:TradingView)
ここから一段と切り返しを継続してもおかしくないが、米ドル/円の強気基調への回復なしでは、主要クロス円も元通りにはならない、という確率のほうが高いのではないだろうか。
クロス円とは、日本円(JPY)と他の通貨の組み合わせで、米ドル(USD)を含まない通貨ペアのことです。
例:
- EUR/JPY(ユーロと円)
- GBP/JPY(英ポンドと円)
ポイント:
- 米ドルを通さないで直接円と他の通貨を取引します。
- 円の動きと関係が深いです。
クロス円は、日本円と他の通貨の直接の取引をするため、どちらの国の経済やニュースも価格に影響を与えることがあります。
米ドル/円のこれからの値動きの鍵を握るのは、当然、円キャリートレード再開の有無だが、筆者は大規模な再開はない、あるいは再開があっても続かないのではないかと思う。
個別のトレードはともかく、大規模な円キャリートレードの発生は、やはり維持される日米金利差の存在が前提条件とされる。
実際には、日米金利差自体の数値よりも、日米金利差の変動傾向がより重要だ。米利下げ周期入り自体は確実なので、これから日米金利差が縮小する傾向自体もはっきりしているから、大規模な円キャリートレードは再構築されにくいと思われる。
次に、CFTC(米商品先物取引委員会)の統計を見る限り、一時史上最大規模に迫るまでに積み上げられた円売りポジションは、ほぼすべてが解消されたようで、日米金利差が拡大ではなく、縮小傾向の市況において、再度、大規模に積み上げられるとは考えにくい。
国際的な投機筋の仕掛けなしでは、円売りトレードが日米金利差から大幅に乖離するような市況も再演されにくいから、円安トレンドへ復帰する予想自体、現実的ではないと思う。
米ドル/円、主要クロス円は限定的だが、いったん反発の余地あり。ミセス・ワタナベの動向で頭打ちがわかる?
半面、米ドル/円も含め、主要クロス円がたちまち円高の方向へ復帰してくるとも思っていない。保ち合いの先行、場合によっては上値余地は限定的であるものの、さらに戻りの余地を拡大してもおかしくない。
世界の通貨VS円 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
そのわけは、日本の個人投資家の行動パターンに垣間見ることができる。
ブルームバーグの記事によると、ミセス・ワタナベさん(日本の個人投資家)の総計として、記録的な円買いのポジションを積み上げてきているようだ。一般的に逆張りとされるミセス・ワタナベさんの行動パターンが、ここへ来て変わった気配があり、また日足の基調と言えば、米ドル/円も主要クロス円も、円買いならむしろ順張りと言えるが、目先の市況に限って言えば、また逆張りしているように見えるから、円高局面も後ずれになる可能性が大きい。
逆張りとは、現在の価格のトレンドに逆らって取引を行う手法です。つまり、価格が上がっているときに売り、下がっているときに買いを行います。逆張りは、トレンドが反転するタイミングを狙う戦略です。
逆張りの特徴
- トレンドの反転を狙う: 価格が上がりすぎているときは下がると予想し、下がりすぎているときは上がると予想します。
- リスクが高い: トレンドに逆らうため、予測が外れると大きな損失を被るリスクがあります。
例
- 価格が急上昇した後に、行き過ぎた上昇と考えて売りのポジションを取る。
- 価格が急落した後に、下がりすぎたと判断して買いのポジションを取る。
逆張りは、タイミングを見極めるのが難しく、高度な分析や経験が求められる手法です。ただし、成功すれば大きな利益を得ることが可能です。
順張りとは、現在の価格のトレンド(上昇や下降)に沿って取引を行う手法のことです。つまり、上昇トレンドなら買い、下降トレンドなら売りを行います。
順張りの特徴
- トレンドフォロー: トレンドが続くと考え、その流れに乗ることを目指します。
- リスク管理がしやすい: トレンドがはっきりしているため、比較的リスクをコントロールしやすいとされています。
例
- 上昇トレンド: 価格が上がっているときに買いのポジションを持ち、さらなる上昇を狙います。
- 下降トレンド: 価格が下がっているときに売りのポジションを持ち、さらなる下落を狙います。
順張りは、トレンドに逆らわず、その流れに乗るシンプルな取引手法です。
逆に言えば、ミセス・ワタナベさんが再度、円売りを仕掛けてくれば、今度は一転して米ドル/円とクロス円の頭打ちが認定できるかもしれない。
頭打ちとは、価格や相場が上昇を続けた後、ある水準でそれ以上上がらなくなり、停滞する状態を指します。これは、上昇トレンドが終わり、価格が天井に達した可能性を示唆するサインとして、トレーダーや投資家に注目されます。
頭打ちの特徴
- 上昇が止まる: 価格が特定のレベルに達すると、それ以上の上昇が見られなくなります。
- 売り圧力の増加: 上昇が止まることで、利益確定の売りが増え、価格が下落に転じることがあります。
例
- 株式市場: 株価が何度も同じレベルで止まり、上がらなくなる状況。
- FX: 通貨ペアの価格が上昇を続けた後、特定のレベルで停滞し始めること。
「頭打ち」は、これ以上の上昇が期待できなくなるため、トレンドの転換点として意識され、売りを検討するポイントになることが多いです。
このような書き方は嫌われるのを承知しているが、今まで機能してきた現象なので、どうしても気になるというか、複雑な市況を判断する上で、有効な物差しとして捨てきれない。
理屈として、やはり相場における大衆の心理が参考になるからだ。大衆は常に間違ってしまうとは限らないが、往々にして感情的な判断になりやすいから、市況を測る上で、参考になるケースが多い。先週月曜(8月5日)までの株の急落や円の急騰があまりにも激しかったから、その「後遺症」がしばらく残るものだと考えられる。
ちなみに、一般論として、個人投資家の多くはスワップ金利を支払うまで円買いのポジションを持ち続けないから、昨晩(8月15日)米ドル/円やクロス円の一段反発自体が円買いポジションの損切りの結果でもあって、足元まですでに大きく削られた可能性もある。
そうなると、米ドル/円や主要クロス円における反発余地は、想定よりさらに限定されるかもしれない。市況はいかに。
感想:このニュースからやはり買い戻しの傾向で上向きの動きが強いのかなと思いました。
また、まだまだ言葉の意味がわからない点が多かったので、この様に記事を読みながらわからない言葉を調べて、知識を増やして行きたいと思いました。あと、わからなかった言葉をノートにまとめていくべきだなと思い、やります。
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