米労働市場が想定以上に減速。FRBが利下げで後れを取っているとの懸念が高まり、米ドル売りに
みなさん、こんにちは
今週(8月19日~)、ジャクソンホール会議の次に注目が集まっていた、米労働統計局が発表した年次ベンチマーク改定の速報値ですが、3月までの1年間の雇用者増は81万8000人に下方修正されました。
ジャクソンホール会議(Jackson Hole Economic Symposium)は、毎年8月にアメリカのワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジウムです。この会議は、カンザスシティ連邦準備銀行が主催しており、世界中の中央銀行総裁、金融当局者、著名な経済学者、金融市場のリーダーなどが集まります。
主な特徴
- 経済政策の議論:
- 会議の主な目的は、世界経済や金融政策に関する重要な議題を討議することです。特に、米国連邦準備制度理事会(FRB)の議長がここで行う講演は、世界の金融市場に大きな影響を与えることがあります。
- 注目される発表:
- ジャクソンホール会議では、米国経済や世界経済の見通しに関する重要な政策発表が行われることが多く、金融市場における期待感や懸念が高まります。
- 市場への影響:
- 会議での発言や討議内容が、金利政策や為替市場、株式市場などに大きな影響を与えるため、投資家やトレーダーにとって重要なイベントとなっています。
例年の議題
- インフレ対策
- 金融緩和政策
- 経済成長の見通し
- 気候変動と経済
最近の傾向
近年では、インフレや金利の動向、新型コロナウイルスの影響などが中心議題として取り上げられることが多く、これに関連したFRBの発言が注目されてきました。
ジャクソンホール会議は、その年の金融政策の方向性を占う上で非常に重要なイベントであり、世界中の金融市場参加者から注目されています。
これを1カ月あたりに換算すると、約6万8000人減。この下方修正幅は2009年以来最大となります。
今回の改定は、労働市場が当初の想定よりはるかに早い段階から減速していたことを意味し、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げで後れを取っているとの懸念が高まります。
FRB(Federal Reserve Board)、日本語で米連邦準備制度理事会は、アメリカの中央銀行である連邦準備制度(Federal Reserve System)の最高意思決定機関です。FRBは、アメリカ経済の安定と健全な金融システムの維持を目的とした金融政策を策定・実施する役割を担っています。
FRBの主な役割
- 金融政策の実施:
- FRBは、金利の設定や公開市場操作を通じて、インフレ率や失業率の管理を行い、経済の安定を図ります。これには、景気過熱を防ぐための金利引き上げや、景気後退を防ぐための金利引き下げが含まれます。
- 銀行の監督と規制:
- FRBは、商業銀行や金融機関を監督し、その健全性と安定性を確保します。これにより、金融システム全体のリスクを管理し、金融危機の防止を図ります。
- 金融システムの安定維持:
- 金融市場の安定を維持するため、FRBはシステムリスクの監視と、必要に応じて流動性を供給するなどの措置を講じます。
- 連邦準備銀行の運営:
- アメリカ国内に12の地区連邦準備銀行があり、FRBはこれらの銀行の運営を統括します。これにより、地方ごとの経済状況を反映した政策の実施が可能です。
- 米国政府の銀行業務:
- FRBは、アメリカ政府の財務省の銀行業務を担当し、国債の発行や管理、政府の財政活動をサポートします。
FRBの構成
- 理事会: 7人の理事から構成されており、大統領によって任命され、上院によって承認されます。理事の任期は14年で、1回限りの再任が可能です。
- 議長と副議長: 理事の中から大統領が指名し、上院の承認を得て4年ごとに選出されます。議長はFRBの最高責任者として金融政策の方向性を主導します。
重要な政策ツール
- フェデラル・ファンド金利: 短期金利の指標であり、FRBが設定する目標金利。これを操作することで、経済の過熱や冷え込みを調整します。
- 公開市場操作: 国債の売買を通じて、銀行の準備金や金利に影響を与える。これにより、金融市場の流動性を管理します。
- 割引率: FRBが金融機関に対して貸し出す際の金利。この金利も金融政策の一環として調整されます。
FRBの影響力
FRBの政策決定は、アメリカ国内だけでなく、世界中の金融市場や経済に大きな影響を及ぼします。例えば、金利の引き上げや引き下げは、ドルの価値、株式市場、そして世界中の経済成長に直接的な影響を与えるため、FRBの動向は常に注目されています。
ゴールドマン・サックスなどは、事前に100万人との予測をだしており、結果的にマーケットを米ドル売りに誘導。
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、アメリカに本社を置く世界有数の投資銀行であり、グローバルに金融サービスを提供しています。1869年にマーカス・ゴールドマンによって設立され、今日では金融界で最も影響力のある企業の一つとして知られています。
主な事業内容
- 投資銀行業務(Investment Banking):
- 企業の合併・買収(M&A)、資金調達、IPO(新規株式公開)のアドバイザリー業務を提供します。クライアントは多国籍企業、政府機関、個人資産家など多岐にわたります。
- 証券業務(Securities):
- 株式、債券、通貨、コモディティ(商品)の売買を行い、市場取引やリスク管理をサポートします。特に、債券取引やデリバティブ(金融派生商品)の分野で強みを持っています。
- 資産管理(Asset Management):
- 個人や機関投資家向けに、資産運用のサービスを提供します。これには、投資信託、年金基金、不動産投資などが含まれます。
- 消費者向け金融(Consumer & Wealth Management):
- 個人投資家向けの金融商品やサービスを提供し、富裕層向けの資産管理も行っています。近年では、「Marcus by Goldman Sachs」というブランドでオンライン銀行サービスを展開しています。
影響力と評判
- 影響力:
- ゴールドマン・サックスは、グローバルな金融市場において非常に強い影響力を持ち、主要な金融取引や経済政策に深く関与しています。そのアドバイザリー業務は多くの政府機関や企業に採用されており、特にM&Aや企業再編の分野での実績は世界トップクラスです。
- 評判と批判:
- ゴールドマン・サックスはその影響力の大きさから、しばしば注目と批判を浴びることもあります。特に、2008年の金融危機の際には、そのリスク管理と利益追求の手法が批判されました。しかし、その一方で、同社は危機後も安定して高い収益を上げており、金融業界でのトップポジションを維持しています。
近年の動向
- デジタル金融の拡大:
- ゴールドマン・サックスは、伝統的な投資銀行業務に加えて、消費者向けのデジタル銀行業務に注力しています。「Marcus」ブランドのオンライン銀行サービスを通じて、消費者金融市場におけるプレゼンスを強化しています。
- ESG(環境・社会・ガバナンス)投資:
- サステナビリティやESGに関連する投資を積極的に推進しており、クライアントの関心が高まる中で、新たな投資機会を提供しています。
ゴールドマン・サックスは、金融の世界で常に最前線に立ち、その革新的なサービスや戦略的なビジネス展開によって、金融市場に大きな影響を与え続けています。
米ドルVS世界の通貨 30分足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 30分足)
実際の数字は100万人とはいきませんでしたが、81万人は十分な下方修正でした。
ゴールドマン・サックスはこの読みでたっぷり儲かったのではないか?というのがマーケットの噂。
ユーロ/米ドルは直近高値を更新。年末までの1.00%米利下げを織り込み済み。丁寧に押し目買いを継続か
ユーロ/米ドルは一時1.1174ドルまで上昇。これは昨年(2023年)12月28日(木)につけた高値である1.1139ドルを上回っており、直近の高値を更新したことになります。
ユーロ/米ドル 週足
(出所:TradingView)
一方、米金利先物市場での9月の予測は1.3回程度であまり変わっていませんが、年末までの利下げ織り込み度は4回になっています。
つまり、年末までに1.00%利下げされることを織り込み済み。
年末までにあと4カ月程しかない時期にも関わらず、この米金利先物市場の1.00%の利下げ予測はさすがに織り込み過ぎです。
そのため、今後米経済指標の数字が少し強い数字が出れば、こうした織り込み度が後退しそう。
結果、米ドルが反発する局面もあるでしょうから、ユーロ/米ドルも高値は追いたくないため、丁寧に押し目買い継続でしょうか?
ユーロ/円は大きく値を上げそう! 8月23日の日銀総裁発言がハト派なら、米ドル/円が大きく反発し、ユーロ/米ドルも上昇トレンド
一方、米ドル/円に関しては、8月23日(金)に開かれる衆参両院での日銀の植田和男総裁への審査に注目。
ここで、日銀総裁は市場の厳しい目にさらされることになります。
なぜなら、日銀が7月の金融政策決定会合で決めた追加利上げと植田総裁が発した明確なタカ派的シグナルが、今月(8月)初めの世界的な金融市場の混乱につながったと見られているためです。
「明確なタカ派的シグナル」という表現は、金融政策において中央銀行がインフレ抑制や経済の過熱を防ぐために、金利引き上げや金融引き締めを示唆する際に使われます。
タカ派とは?
- タカ派(Hawkish)は、インフレを警戒し、厳格な金融政策を支持する立場を指します。タカ派は、経済が過熱するリスクがある場合、金利を引き上げることでインフレを抑制し、経済の安定を図ろうとします。
明確なタカ派的シグナルの具体例
- 金利引き上げの予告:
- 中央銀行が将来の金利引き上げを明確に示唆する発言や声明を出すことです。これにより、市場は金利が上昇するという強いメッセージを受け取り、金融市場や通貨の動きに影響を与えます。
- 経済の過熱に対する懸念表明:
- 中央銀行がインフレの上昇や経済成長が過剰になっていると指摘し、それに対応するために厳格な政策を採る意向を示すことです。
- 緩和政策の縮小(テーパリング)開始の宣言:
- 量的緩和(QE)のような緩和的な政策の縮小や停止を表明することも、タカ派的シグナルとされます。これにより、市場は流動性の縮小を予測し、リスク資産の売却や債券利回りの上昇などが起こる可能性があります。
タカ派的シグナルの影響
- 通貨の価値: 金利引き上げが予想されると、その国の通貨は上昇する傾向があります。高金利により投資家がその通貨を求めるからです。
- 株式市場: 高金利は企業の借入コストを増やし、消費を抑制する可能性があるため、株式市場にはネガティブな影響を与えることが多いです。
- 債券市場: 金利上昇は債券価格にマイナスの影響を与えるため、債券市場も反応します。
このように、「明確なタカ派的シグナル」は、金融市場に広範な影響を与える重要なメッセージであり、特に中央銀行の発言や政策変更に対する市場の反応は非常に敏感です。
今回の総裁のコメントはかなり重要です。
仮に日銀総裁がタカ派色を明確に出せば、米ドル/円は円高に進みますが、株が暴落する懸念があります。
一方、明確にハト派のシグナルを出せば、再び円安がかなり進むリスクがあります。
つまり、7月会合前と同じような状態に戻ってしまうリスクが高まるわけです。
そのため、日銀総裁のコメントは慎重にバランスをとれたものになると想定されますが、再び「世界的な株暴落を引き起こした日銀総裁」というレッテルを貼られたくなければ、いくぶんハト派的なトーンになる可能性が高い。
「ハト派的(Dovish)」とは、金融政策において、経済成長を重視し、インフレよりも低金利や緩和的な政策を支持する立場を指します。ハト派は、経済成長や雇用の拡大を優先し、金利の引き上げには慎重な姿勢を取ることが特徴です。
ハト派的なシグナルの特徴
- 金利引き下げの示唆:
- 経済成長を促進するために、中央銀行が金利を引き下げるか、金利を低水準で維持する意向を示すことです。これにより、企業や個人の借入コストが下がり、経済活動が活発になることが期待されます。
- 金融緩和の継続:
- 量的緩和(QE)などの緩和的な金融政策を維持または拡大することを示唆することも、ハト派的とされます。これにより、経済への資金供給が増加し、景気を刺激する効果があります。
- インフレに対する忍耐:
- インフレ率が目標を上回っている場合でも、中央銀行が成長や雇用を重視して金利を引き上げず、インフレをある程度許容する姿勢を見せることです。
- 景気刺激の必要性を強調:
- 経済の成長が鈍化しているときに、さらなる景気刺激策の必要性を訴える発言や声明がハト派的シグナルとなります。
ハト派的シグナルの影響
- 通貨の価値: ハト派的な政策は低金利を維持するため、通貨の価値は下がる傾向があります。低金利は投資家にとってその通貨の魅力を減少させるからです。
- 株式市場: 低金利や金融緩和は、企業の借入コストを下げ、経済成長を促進するため、株式市場にとってはプラス材料となりやすいです。
- 債券市場: 低金利の維持や引き下げは債券価格にとってプラスとなるため、ハト派的シグナルは債券市場に良い影響を与えることが多いです。
ハト派とタカ派の対比
- ハト派(Dovish): 経済成長や雇用を重視し、低金利や金融緩和を支持する立場。
- タカ派(Hawkish): インフレ抑制や経済の過熱を防ぐために、金利引き上げや金融引き締めを支持する立場。
ハト派的な政策は、一般的に景気が低迷している時期に採用され、経済を刺激するために重要な役割を果たします。市場参加者は、中央銀行のハト派的シグナルを慎重に分析し、それに基づいて投資戦略を調整します。
よって、対円に関しては米ドルの下げ余地は限定的となると想定しています。
彼のコメントによっては、米ドル/円が大きく反発する可能性も高い。
米ドル/円 日足
(出所:TradingView)
結果、日銀総裁のコメント次第では、ユーロ/円が大きく値を上げる公算が高いと考えています。
米金利先物市場で年末までに1.00%利下げされることを織り込み済みの動きの中、ユーロ/米ドルの上昇トレンドは変わらず。
一方、8月23日(金)の日銀総裁のコメントはハト派になる可能性も高いため、ユーロ/円の反発にも注目。
ユーロ/円 日足
(出所:TradingView)
引用文献:https://zai.diamond.jp/articles/-/450951
※自分もわかっていないので間違いなどがあるかもしれません。
その時は、お問い合わせから教示頂けたら幸いです。
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